男の起こす事件
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【第百二十四話】〜気になる２つのトピック〜
男の起こす事件1 ◉京都・女子大生タリウム殺人事件）2023年3月 集英社オンラインの記事より一部引用
京都市左京区の不動産賃貸業、宮本一希容疑者(37)。別に懐石料理と舞妓座敷を組み合わせたディナーショーなどを催す企画会社を経営。そこでアルバイトをしていた大学3年生の浜野日菜子さん(21)に昨年10月、劇物のタリウムを投与して死亡させた殺人容疑で逮捕。宮本容疑者は再婚後に一児をもうけたが、趣味の美食巡りに件の女子大生を同伴するなどの放蕩を繰り返していたとみられます。自身のSNSに美食巡りの写真を頻繁に掲載、また被害者の浜野さんも高級中華料理店のオーナーシェフや、京都の隠れ家的な名店として知られる会員制バーの店員など、高級店の店舗関係者のSNSをフォロー。調べによると二人は昨年10月京都市内の飲食店で食事後、浜野さん宅に移動して飲酒を続け「一緒に酒を飲んでいたら浜野さんが急に咳き込み始めたので看病していた。朝になっても症状が改善しないので彼女の母親に連絡した」と宮本容疑者は説明。現在、宮本容疑者は容疑について黙秘しており、府警はタリウムの入手経路や動機などの捜査を進めています。
親も資産家で何不自由ない暮らしをしていて、自分もそれなりに事業を立ち上げ、順風満帆に見えたこの男に何があったのか。被害者が亡くなってしまっている証人がいない密室での殺人なので、状況証拠が決め手ではあるのですが、それにしてもなぜ被害者は殺されなければならなかったのか。現段階では容疑者は黙秘を通しているというので何もわからない状況。ただ、こういうパターンで考えられるのは、やはり被害者に対する恨みからの犯行の可能性です。
今の今まで、人生に躓きを感じることがなかったと思われる容疑者。家は大金持ちで、自分のビジネスもそれなりにうまくいっているのか、いろんな美味しいものを食べ歩きできるほどの余裕を持っています。どの記事を見ても、奥さんも芸能人なみに美しいという表現がされているように、人も羨むような成功人生をひたすら歩んできたのでしょう。しかし、ここまでうまくいっていた人生をひっくり返すような犯罪を犯した背景には、とうとう自分の思うままにコトを動かすことができない何かが起こったのでしょう。
ここからはあくまで推測に過ぎませんが、つまりは、この容疑者、被害者の女性のことを気に入っていたのだと思われます。だからこそ、自分の美食巡りに同伴させていて、非現実的な体験をさせて、彼女の気持ちを思うままに操ろうとしていた、いや、すでに操れていたからこそ彼女の部屋に入ることもできていたのかも知れません。でも、結果的にこの容疑者の思うように被害者の女性がなびいてはくれなかったのでしょう。例えば、散々いい思いをさせてやってきたのに、“彼氏ができたから別れたいと言われた”あるいは“愛人関係を続けることを拒否された”または“結婚を望まれて今の奥さんと別れないと今までのことをバラすと脅された”か。お金だけで解決できることであれば、彼女の命を奪うまではしない気がするのですが、もしかしたら、もっとお金をと求められたとか、自分の立場を少しでも良くするためには、彼女を悪い風に仕立てることも十分あり得る話です。ただ、もう悪あがきなどせず、すべて本当のことを自白して、彼女のご両親の悲しみを少しでも晴らせるようにして、一刻も早く罪を償うべきでしょう。
(後々の調査で、もしかすると親族まで殺めていた可能性が出てきました。こうなるともう普通の感覚では判断はできません。捜査結果は時間がかかるのでしょうが、被害者女性の無念が晴らされる結論を待つしかありません。)
男の起こす事件2 ◉“ハラスメント撲滅”の弁護士からセクハラ被害）
2023年3月 テレ朝ニュースの記事より引用
ハラスメントの撲滅に向けた活動などをしてきた馬奈木厳太郎弁護士(47)からセクハラ被害を受けたとして依頼人だった舞台俳優の知乃さん(25)が1100万円の損害賠償を求める裁判を起こし「生涯弁護士として活動しないことを求めたい」と訴えました。
知乃さんは馬奈木弁護士の依頼人。2019年9月から昨年1月までの間、繰り返し体を触られたり、卑猥なメッセージを送られたり、意に反する性行為を強要されたということです。
知乃さんは以前に、演出家からセクハラ被害を受けたとして、馬奈木弁護士に弁護を依頼。その後、知乃さんは「演劇・映画・芸能界のセクハラ・パワハラをなくす会」を作り、馬奈木弁護士が顧問を務めていました。
しかし、馬奈木弁護士は打ち合わせと称しては知乃さんを呼び出し、体を触るなどしたといいます。性行為を断る知乃さんに対して、馬奈木弁護士は「そうであればもう自分は『ハラスメントをなくす会』の活動も、関われない」という言い方で追い詰めて応じさせたとのこと。知乃さんは「馬奈木弁護士は演劇界でビッグネーム。権威を持っていました。そして私は上昇欲求を持っていて、演劇界で絶対に売れたいと思っていたので、その気持ちを利用されたのです」と怒りを隠しません。
これに対し、馬奈木弁護士は「既婚でありながら、その方に対して好意を抱いてしまいました。性的関係を誘う言動を続け、これらを拒むメッセージや言葉をその方から受け取っていたのですが、依頼を受けていた裁判の対応にまで言及して追い込み、苦しめてしまいました。ハラスメント講習の講師やハラスメント問題を扱う資格がありません。今後はこれらの活動を一切行いません」とセクハラ行為を認め謝罪しています。
被害者が会見を行う前に自らインターネット上で謝罪会見を行っていることから、少しでも炎上を抑えようという意図が透けて見えます。もともと計算高い男なんでしょう。
しかしセクハラ被害を救済すると言って手を差し伸べたはずの弁護士がもっとひどいセクハラ、いや卑猥なラスボスだったというのがわかった時のこの女性の失望感たるや想像を絶するものがあったでしょうね。こうなったら誰を信用していいのか本当にわからなくなります。
海外でいわゆる「MeToo運動」が起こった時には、SNSの力のすごさがあらためてわかりました。今まで、特に芸能界などでは、どの国でもそういったパワハラやセクハラがまかり通ってきて、暗黙のルールのように見過ごされてきました。力や金や権力を持つ側がすべてをコントロールできるという闇の世界。黙ってそれを受け入れさえすれば、道は開けると信じてそこに足を踏み入れるのでしょう。しかし、それでも利用されるだけで夢を閉ざされたり、その現実を受け入れられない一部の人が声をあげようとしても、いつの間にかいろんな圧力にさらされ、そのうちにその声は黙殺されてしまうのです。こうして一部の権力のある人間によって牛耳られる業界が多すぎたのも事実。力のない者がSNSの力を得て、少しずつでも公平な世界が広がっていくのは意味のあることであることだと思います。その一方で、なんのコネもなければ力も足りないと自覚している俳優(女優)が、あえてその暗黒の世界に飛び込むことでチャンスを得ていた可能性も少なからずあるでしょう。そういったグレーの部分を完全に白黒にしてしまうのはいかがなものかという意見も多少なりともあるとは思います。
一般の企業に目を向けても、最近の職場では新人にモノ言えぬ先輩や上司が増えたと話題になります。コンプライアンスを重視することを叫ばれて久しいですが、それによって、新入社員がそういったハラスメントを盾に、自分の身を守ることを優先するがあまり、仕事の吸収が滞る事例も当然出てくるでしょう。要は自ら能力の伸びる可能性を棄ててしまうことにも繋がります。なんでもかんでもハラスメントと言っていては、国内の経済の発展にも支障が出てもおかしくありません。旧来、縦社会の影響が色濃かった建設や工場などの現場での事故が目立ってきているのも、もしかすると因果関係があるのかもしれません。横暴は絶対に許されませんが、どこまでがよくて、どこまでがダメなのか、しっかりとした基準ができあがるまでは、日本の職場でもこういった本来の仕事には直接関係のない問題に振り回されることが大きな課題になっていくのでしょうね。
【第百二十五話】に続きます・・・。
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