クリスマスの夜をあの女子と①
本日もご訪問ありがとうございます。『恋の鉄人285』です。※このブログに初めて訪問された方はコチラ【第一話】
【第百二話】
前回までの恋の鉄人285は。。。） 季節はすっかり秋めいて、U子さんの秋の研修の時期。それに合わせてデートの約束。今回は2日連続で会うことになりました。彼女の帰る日、めずらしくカジュアルな感じの居酒屋での飲みに、調子づいた彼女はいつもよりハイペース。そんな彼女、あろうことか帰りの新幹線で寝過ごしてしまい、遅い時間にタクシーで高額を払っての帰宅となってしまいました。
こうして長きに渡っての交際を重ねているU子さんとの関係。お気づきの方もいらっしゃるかもですが、彼女と私の休みが合わないことが主たる理由となり、ここまでの間、ほぼその日のうちに別れているのです。つまり、関係性はこんなにデートを繰り返しながら高校生なみ(いや、今なら中学生か笑)のレベル。今までが、散々必死になって関係性を進めようとして失敗の連続。多分、もうそんな自分に嫌気がさしてきたのだと思います。それに、U子さんとの場合は、デートだけでもなんだか楽しめるので、それでもいいやと受け入れて来れたのです。
そして、ここへ来て、クリスマスの時期にやっとU子さんと一泊できる計画を立てることができました。ただ、彼女曰く、そのあたりに女子の日になりそうとのことで、関係性が深まるのかどうかは、今のところ怪しい雲行きとなっています。
クリスマスのU子さんへのプレゼントは、大好きなハイブランドのバッグ、と前回のデートで決定しています。このバッグもそれなりの価格なので、誕生日とクリスマスを合わせたプレゼントという話にはしています。でも、予定していたものを手に入れるだけではなんだかクリスマスらしくない。クリスマスはやっぱりサプライズが必要じゃあないか、とかなり頭を悩ませていました。
「財布、ポーチを持っていて、今回はそれらを入れるバッグか…ん？待てよ、ということはもう一つ買えそうなアイテムがあるかもしれない！」と思い立ち、U子さんに何気なく探りを入れてみたのです。
「U2さんの小銭入はどんなやつやっけ？」「エナメルのよ」「ブランド？」「ちがう〜。そんなのどうでもいいやん笑」「思い出したいわぁ笑」などとどうでもいいラインのやりとりのように繕いながら。そう、小銭入れをこれまた例のハイブランドのもので揃えれば、ほぼコンプリートするわけです。彼女との問答で少なくともこのブランドのものではないことはわかったので、夜な夜なこのブランドのサイトで小銭入をチェックします。
今回はサプライズにするため、これ以上は彼女に聞けません。平日の仕事あがり、実物を確認するために、またいつものハイブランドショップに足を向けたのです。小銭入れに目をやる私に対応してくれた女性スタッフが言うには「この柄がお好きなら揃えられるのもいいかと思います」「そうなんよね。ただ、女性って同じ柄ばかりより変化を好んだりする？」「まぁ確かにそういう方もいらっしゃいます。」そんなことを考えるとどんどん違うパターンまでもが頭に浮かびます。保守的にいくより、今までにない色や型押しも変化に富んでる方が喜ぶ？…と、違うデザインを見ようとしましたが「いや、やめる！迷っていてもキリないし。初めに見たのでいく！」「プレゼントですか？」「明日、バッグを彼女と買いに来る予定なんやけど、誕生日とクリスマスが近いのでやっぱそれぞれに何かしたくて」「いいですねぇ」「じゃあ明日バッグと一緒にもらうので取り置きよろしく！」「お待ちしています」といったやりとりをしながらまたさらに数万円の大盤振る舞いをしてのけたのです。
彼女との宿泊初日は普段通りの出勤。正装用の着替えをカバンに詰めて、いつものように自分の仕事を早めに終わらせ、事務所をあとにしました。U子さんの到着まで少し時間があるので、先にキタの高級ホテルのチェックインと支払を済ませ、荷物を預けて、手ぶらで彼女をを迎えに新大阪へ。前日からクリスマスシーズンらしくかなり気温が下がっています。新大阪在来線乗換改札前で待つ私に「一服してから行く〜」という毎度お馴染みのメッセを受け取っておよそ10分、彼女がいつものように手を振りながら改札に現れました。予告していた通り、女子の日のど真ん中で、しかも風邪気味というあまり良くない体調を引きずっているとのこと。まぁこんなもんでしょ(笑)。
とりあえず夕食の前にホテルの部屋に荷物を置いてあのブランド店に行こうという段取りです。ホテルに着いて、預けていた荷物とキーをもらおうとすると「案内係がお部屋まで案内させていただきますので少々お待ちいただけますか？」とのこと。さすがいつものビジネスホテルとは違うなと思いつつ、手持ち無沙汰でプラプラしている私たちを見つけて「ではご案内させていただきます」と男性スタッフが荷物を運び、部屋まで誘導してくれます。「●階でございます」。ほぉ、意外と高層階。夜景など期待はしていませんでしたが、それなら少しは見えるのかな、とエレベーターの中で楽しみを膨らませていました。部屋に案内され、ドアを開け、中へ入ると、部屋はいつものビジホの比較にならないくらい広々として、目の前には北向きに夜景が広がっていました。U子さんも思わず「わぁ！きれぇい！」と感嘆の声をあげていました。今までホテルの知識など皆無で有り難みも何もわかってなかったのですが、この瞬間にビジホと高級ホテルの違いはなんとなくわかったような気がしました。ビジホは寝床の提供、高級ホテルは空間の提供なのだなと。ひと通り空間を堪能してから「ほんじゃ、あのブランド店へ行こう！」と、部屋を出る前にU子さんと久々のキスをしたら、唇に静電気が走ったらしく彼女が「いた～い！もうしな～い」。私はまったく何も感じなかったのですが(笑)。
ホテルを出て向かったハイブランド店で、昨日の女性スタッフを呼び出しバッグの案内を頼むと、U2さん特有のそっけない態度が顔を出していました。多分この店ではお気に入りのあの男子スタッフがいるのでそうなってしまうだろうと思うのですが、せっかく担当してくれている女性スタッフに、彼を呼んでほしいと私も言いづらい状況。U子さんにも決して悪気があるわけではないしもちろん担当に落ち度があるわけでもないから１対１で任せていると結構渇いた空気が流れているのがわかるのです。そんなU子さんの態度にギブアップしたのか、バックヤードに戻った女性スタッフと入れ替わるかのように、以前お気に入りとなった男子スタッフが顔を見せました。実は小銭入れを買った日にそれとなく女性スタッフには彼がお気に入りだということをなんとなく伝わるような言い回しをしておいたので、彼とバトンタッチした方が良さげだなと女性スタッフが機転を利かせたのでしょう。以降はオキニの彼がU子さんの相手をしてくれて、渇いた空気はなくなりました。いつもと同じくある程度の種類のバッグのフィッティングをリクエストし、またお気に入りが変わってしまうのかと内心ドキドキしながらも、前回「これにする！」と決めていたバッグに無事おさまりました。同じ柄でも作った時期によって多少の色の差が出ると聞いて、最後の二択でも悩むあたりはさすがと思いましたが、これで納得して使ってくれることでしょう。なけなしの万札を取り出し、彼に手渡しました。このブランド店によく出入りするようになって、多めの金額を出すことに躊躇というものがなくなってきていました。いえ、麻痺しているというわけではありません。価格相応の場所、モノ、サービスというのが各々存在し、それなりのモノを手に入れるとそれなりの見返りがあるものだと気付いてきたからです。それなりのモノを持つと大切に扱うし、何しろ使えば使うほど味が出ると言いますからね。とにもかくにも、大切なパートナーにこうして良いものを持ってもらうことは、少なくとも私の虚栄心は満たされます。それなりの時間を待ち、ディナーの時間がせまりつつある頃、大きな箱が入ったショッピングバッグを抱え、担当の彼が戻って来ました。満面の笑みで受け取る彼女を横目に彼が「バッグの中に入れております、サプライズ」と耳打ち。私は頷いて約45分滞在したハイブランドの店を後にしました。
【第百三話】に続きます・・・。
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