3つ目のプレゼント
本日もご訪問ありがとうございます。『恋の鉄人285』です。※このブログに初めて訪問された方はコチラ【第一話】
【第九十五話】
前回までの恋の鉄人285は。。。） 京都ではんなりとしたデートを敢行したU子さんと私。清水寺・地主神社で前回「大凶」の恋みくじのリベンジを果たそうとするも、硬貨が足らなくて断念。もし引いていたら何が出たのでしょうか？そして今回はU子さんとのホワイトデーを前にしたデートです。
この日の前日、U子さんは大阪に前乗りしていました。大阪で焼肉の店が密集しているエリアは“コリアンタウン”と称され、在日韓国人の方が出店し、本格焼肉をリーズナブルに提供することでも有名です。このエリアから数駅離れたところにお友だちがいて、前日までそこにお邪魔していたとのこと。
ランチをこの“コリアンタウン”の焼肉にしたいとのU子さんの要望で、私の当時勤めていた会社の社長のお気に入りのお店が美味しいと彼女にも話していて、その店の付近で待合せをしていました。
少し早めに店前に着いた私に遅れること10分位でU子さんも到着。「はい！ひさしぶりぃ！」と相変わらずの元気印です。平日お昼前の入店なのですぐ席に通されましたが、10分もしないうちに満席状態。さすが人気のお店だけあります。注文も、今日の彼女はびっくりするほど時間をかけています。これも食べたいあれも食べたいとオーダーしたのですが、その割には食は細いので、ほとんどが最終的に私の口に入ってしまうわけなのですが(笑)。
早々に運ばれてきた焼肉を網に乗せながら、U子さんからバレンタインのチョコをプレゼントされました。「ありがとございまーす」と受け取りますが、この時もう3月で、ホワイトデーが目前。そのホワイトデーのプレゼントを選ぶというのが今日のメインイベントなのです。やはり彼女の食べきれなかった残りの料理を頑張って平らげながら、メインイベント以外は今日はノープランだったので、彼女とこの後のことを相談していました。
ホワイトデーでもあるし、以前にU子さんと行ったチョコレート専門店にチョコを食べに行くか、博物館でやっているマンガ展を見るかを提案してみたのですが、今日はあいにくの天気。移動もままならない状態なので、2人で再考した結果、悪天候の日の定番である映画を見に行くことにしました。動く範囲を最小限に抑えるためでもあります。夕食の場所もキタの予定なので、まずは電車で北上します。
店を出てしばらくは外を歩くので相合傘で駅まで向かい、電車に乗りながら観る映画を決めます。特に前知識なしに選んだその映画は、よくある陰謀を暴く系のシリアスでスリリングな内容のもの。鑑賞の結果、そこそこ見れたもののオチが弱くてちょい萎え…という感じなものになりました。
映画を見終えたら、次は本命のU子さんのホワイトデープレゼント探しにかかりました。実は今回のプレゼントもある程度目星がつけてあるものでした。U子さんお気に入りで、前回は財布を購入したハイブランドの、今度はポーチということらしいです。財布がお気に入りすぎて、それならポーチも欲しくなったということのようで、ただ今回のポーチは決して私からの純粋なプレゼントというわけではありません。財布を買うために一生懸命お金を貯めていて、私が財布をプレゼントしたことでその予算を今回のポーチに回せるようになったと。「じゃあ私が少し手伝うよ。それをホワイトデーのプレゼントに」ということで、2人で協力して購入が可能になったというわけです。「目標はまだまだ先だったのに、恋鉄っちゃんと出会ったおかげで自分の夢が早く叶えてもらえるのがうれしい」と正直に喜ぶ彼女の姿を見ると私もうれしくなります。もちろん、そういう表情もモノの価値に比例しているだけで、私への愛情があるのかどうかわかりませんが。
お気に入りのポーチを手にして上機嫌な彼女を連れて、今夜のディナーの予約を入れていた“天ぷら”の店に足を運びます。そこへ向かう途中のエスカレータで、U子さんがひとつ前の段に乗りながら私の方を向き、おもむろに「ねぇ、私たち、つきあってるのよね？」と言ってきます。私はまったく予想だにしない質問にきょとんとしながらも「う、うん。よな？」と返し、周りにだれもいないことを確認すると、こちらに向いている彼女の唇に軽くキスをしました。私の頭の中では“そうだったのか？”と何度も繰り返しているものの、さっき彼女の私への愛情を疑ったことを少し反省しました。かと言って劇的に何かが変わるわけでもないのですが、彼女といる今の状況が楽しければそれでいいと思っていました。その後、予約していた店に着いた私たちは、揚げたての天ぷらを堪能しました。悪天候のせいで今日はそれほど精力的に動いていないこともあってあまりお腹が空いておらず「美味い！」と唸るほどではなかったのですが、彼女はいつも通り満足げにしてくれています。そんな機嫌のいいままのU子さんと、ショッピングビルの地下に降りてショップが立ち並ぶ通路を会話をしながら歩いていると、突然、横にいたはずの彼女の姿が見えなくなりました。途中で何かに引寄せられたようです。さすがはB型(笑)。私も慌てて来た道を引き返すと、ある店で「これかわいい！」と感嘆の声をあげた彼女がさわっているのはスプリングコート。半額以下のプライスダウンに勢いづいている彼女は怯まずに「これ買う！」。手に提げていたハイブランドのショッピングバッグが目に入ったそのショップの店員が「お買いあげ、ありがとうございます！あ〜、いいなぁ。うらやましい！」と言うと、またいい笑顔で笑う彼女。地元ではほとんど買い物しないという彼女が大阪に出て来て買い物するのはストレス発散にもなっているようです。
こうして満足に買い物を済ませ、新大阪駅では家族への土産もしっかり買い、すっかり大荷物になったU子さん。乗って帰る予定の新幹線も、雨天のせいで少し遅れが出ているようです。しばらく近くの喫茶店で新幹線到着を待ち、15分くらい前になったところで「じゃあそろそろ行くね」と大荷物を抱えて腰を上げる彼女。改札の手前でいつもより長いハグを受け、いつものように「またね〜」と明るく笑う彼女の後ろ姿を見送り、私もまたいつものように帰途についたのでした。
【第九十六話】に続きます・・・。
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