フレグランスのプレゼント
本日もご訪問ありがとうございます。『恋の鉄人285』です。※このブログに初めて訪問された方はコチラ【第一話】
【第九十六話】
前回までの恋の鉄人285は。。。) U子さんとホワイトデーを前にしたデート。誕生日、クリスマスと来て、今回は女性へのプレゼントするタイミングとしてはベストです。彼女が求めていたのは財布と同じハイブランドのバッグ。さすがに私だけでは予算が足りませんが、彼女が財布のために貯めていた分と合わせて購入が実現しました。
季節は初夏になっています。この日も、いつものようにお昼前の新幹線で新大阪に到着したU子さん。
ランチはU子さんのリクエストで、前回は雨の日になってしまった日に食べた焼肉がとても美味しかったと。ぜひ再度食べに行きたいとのことで、再びコリアンタウンに程近い前回のお店に予約を入れていました。大阪駅から大阪環状線に乗り継ぎ、『鶴橋』という駅が最寄となります。歩くのが嫌いな彼女が、駅からも歩けば結構距離があるお店にも関わらず「また来たい」と言うくらいですから、かなりお気に入りのようです。一路、予約したお店に向かう私たち。U子さんは、前回食べたかったけれど迷った末に諦めたというメニューを、今回はきっちりオーダーし、後悔のないよう、お腹いっぱいになるまで焼肉を堪能したのでした。
次の目的地は大阪市内にある『プラネタリウム』。私が今回のデートコース候補の一つとしてあげたものなのですが、意外にも彼女が“プラネタリウム好き”ということで即決された場所でした。ただ場所的にはえらく中途半端で、最寄駅からも結構歩くイメージだったので、ランチをしている焼肉のお店から配車アプリでタクシーを呼び、移動することにしました。
ミナミからキタへ。平日の街中をこんな贅沢に移動するのもたまには悪くないなぁとか思いながら、20分ほどの移動時間で『プラネタリウム』前に到着。「いつも奢ってもらってばっかりだから」と彼女に賃料を支払ってもらい、タクシーを降りました。


『プラネタリウム』なんてそれこそ何年ぶりなんでしょう。多分、小学校低学年あたりに学校から来たであろう記憶もおぼろげにしかありません。受付でお金を払ったらすぐにシアターに案内されました。まぁるいドーム状の天井に、前へ行くほどリクライニングするようになっている席。我々は真ん中あたりに座席を確保し、開始の時間を待ちました。こういうものも時代とともに近代的になっているのだろうかとイメージしていましたが、明かりが落ち、星空が天井に映されてプラネタリウムが開始されると、館内にライブのアナウンスでそれぞれの星座の説明が入ります。まさしく学習のための施設という感じ。久しぶりに子どもにかえったような感覚にはなれたものの、大人女子のU子さんがこんなもので喜べるのでしょうか?そんな心配も投影終了とともに彼女が放った「おもしろったぁ」の一言で飛んで行きました(笑)。
次に向かったのは、百貨店が『ニューヨークフェア』と題しリアルなニューヨークの衣食住を紹介しているイベント。購入もできるようです。入口にシンボリックに飾られているアメ車のクラシックカーに心躍らせるU子さん。おやつ時で周りの食べ物がヤケに美味しそうに見えます。いかにもアメリカっぽい甘そうなパイなどを見ると「懐かしい~」と感嘆の声をあげる彼女。「なんか一つ食べる?」と勧めると、悩んだ末、甘いミルフィーユのようなお菓子とスープを買ってイートインコーナーでシェア。彼女の欲しがったマニキュアを記念に買ってイベント会場をあとにしました。
この時期にU子さんが来た目的のひとつに私に誕生日プレゼントを買うというもの。「何か欲しいものはない?」と聞かれて「あえて言うなら香水がもうすぐきれるからなぁ」と答えました。そこで紳士小物売場へ。結構な種類のフレグランスを扱っているコーナーがありました。「どんなのがいい?」「U子さんがいいと思う香りので」と言うと「わかった」と笑顔のまま、サンプルを色々試していきます。ただ、私は彼女にお金をそんなに使ってもらいたくないので、価格を気にしながらも、どれも意外に値が張ります。一番最初に彼女が薦めてくれたものにミニサイズがあって、これならまだお手頃だったし、私も好きな軽い香りなのでこれをプレゼントしてもらいました。

「ほか、何か見たいものある?」という私に「サンダルがほしいんだけどなかなかないの」と。何気なくHepに足を運びました。しばらくはいつものように何を買うでもなく楽しそうに色んな店に蝶々のようにふわふわと行き来するU子さん。「靴屋さんがある!」と立ち寄った店で店員と話し込みしばらく出て来ません。いつもならねばっても最終的には「もういいや」と出てくる彼女が、今回は考えた末に購入を決断したようです。「お気に入りがあったようで良かったね」というと満面の笑みを返すU子さん。
そうこうしているうちにディナーの時間がせまってきました。今日のディナーはイタリアンの有名店。いつも私たちがよく徘徊している場所から少し離れたオフィスビルの最上階。「え?これ、ふつうの会社のエレベータじゃないの?」とU子さんが不安がるほどの殺風景な下階からエレベータで上がると目前に目的の店の仰々しい文字が見えました。あれ?こりゃあ、ちょっと大袈裟やん。。。と一抹の不安を感じながら店の中へ。店に入るや否や、やっぱり彼女の口から「も〜恋鉄っちゃん!またやった〜!」と半分お怒りの声が。そう。前に高級ホテルのイタリアンの時も「それなりの店ならそれ相応の格好がしたいから前もって言っておいてほしい」と言われていましたから。でも今回は“カジュアルにイタリアンが楽しめる店”というふれこみで選んだのですが。いやもちろんU子さんは本気で怒っているわけではなく、あまりにもカジュアルな格好ゆえに気恥ずかしいそう。そうして怒っていた彼女も料理が終わる頃には満足いった表情を見せてくれて、私もひと安心で店をあとにしたのでした。


店のあるオフィスビルを離れ、新大阪に向かうために大阪駅に近づいたあたりで、U子さんが突然「あ、荷物は?」「え!」私は青ざめました。完全にあの店に忘れ物です。新幹線の時間に合わせて店を出たのであまり時間がない!彼女を送ってから荷物を取りに行って彼女のサンダルは郵送してあげるか、今すぐに取りに行くか。10分後に大阪駅を出れればなんとか間に合うと踏んだ私は、まず店に電話して荷物の有無を確認。U子さんを人通りの多い駅の地下通路に残してさっきの店にダッシュしました。走りながら「あと数分で着くので下まで持って降りてもらえますか?」と息も絶えだえに電話すると「わかりました!」と担当の女性。エレベータホール前で息をきらしている私の前に紙袋を持った女性が「お詫びの印にうちのお菓子を入れておきました!」息が切れてありがとうの声も出せずに手を合わせてそのまままた走り出す私。途中で時間を確認するとあと予定時刻まで5分。なんとか間に合うだろうと思いつつも早めに大阪駅を出なくてはと、出せる力を振り絞って走り続けました。U子さんの顔が見えた時にはギリギリ。まだ息が切れていて声も出すこともできず、とにかく急ごうと手振りで彼女を誘います。「だいじょうぶ?」と心配そうな彼女をよそにとりあえず新大阪行きの電車に乗り込みました。彼女の列車の到着は20分後。なんとか10分の猶予を残していつもの改札前に到着。いつもなら名残惜しくハグしているところですが、カラダが疲れ切り、尋常じゃない汗でそれどころではなく、心配する彼女に、店からのお詫びの品を渡して見送った私。帰りの地下鉄でも彼女のお礼メールさえ確認できないほど疲労困憊。最寄駅まで座れるように特急指定券を買ったのですが、禁煙車両と喫煙車両を間違って買うほどの混乱ぶり。禁煙派の私がもくもくと煙の漂う喫煙車両の指定座席でほぼ気絶状態でした。
後日の電話で聞いた「必死に荷物を取りに行ってくれた姿には感動したよ!」というU子さんの言葉に少し助けられましたが、あの距離を走るくらいでカラダがボロボロになる自分が恥ずかしく、その週末からは、数キロ先の公園までの往復をウォーキングとランニング、公園内での自重トレーニング合わせて2時間を習慣化するようになったのです。
【第九十七話】に続きます・・・。
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