彼女宅から初出勤
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【第百七十九話】
前回までの恋の鉄人285は。。。) 『ライブチャット』で出会ったM奈さんと、毎週末いっしょに運動できるような場所をみつけて、ウエアも買って、本格的に彼女の生活習慣の改善に取り組みます。この日は日曜日。明日からまた仕事なので家に戻る日でもありますが、彼女の「帰らないで」コールに負けて月曜は彼女の家から出ることに。
家に帰ることがないことが決まったなら、私が「さっぱりしてからご飯にしたい」ということで、夕ご飯の準備をしている間に、彼女にはお風呂を掃除しておいてもらいましょう。「簡単でええので湯船だけゴシゴシして洗い流しておいて。できたらお湯を溜めて〜」と言い、私はキッチンに。
ご飯をといで火を入れたらカレーづくり。今日はカレーのルーはできあいなので、とりあえず、ごつい野菜はボイルして、玉ねぎや牛肉は塩コショーして、バターで軽く炒め、彼女の赤ワインを少し注いでいきます。この段取りならカレーもいいけどシチューも良さげですね。ただ市販のルーは辛口と言えども甘めのものが多く、個人的にはあまり甘口のものが好きでないので野菜も甘さの出るニンジンは抜きにしました。できるだけルーの中で具に味を浸み込ませるよう弱火でグツグツします。
お風呂掃除を終えた彼女がお風呂を溜めて出てきたので「先に入って〜。あとで行く」と言い、必要な食器をおろして、そのうちご飯も炊き上がるでしょうし、出てきたらすぐにでも食べられるようにしておきましょう。
念のためコンロの火を止め、脱衣場で洗濯機に洗濯物を放り込み、彼女が香りのボールを入れたお風呂に浸かっている間に、私が先に体を洗います。私が洗っている姿を湯船から興味深く見ている彼女。前回までは電気を消したり少し恥ずかしがっていたのですが、もう今はそんなことはどうでもいい感じのようです。その彼女を見て「どうしたん?」と聞いても「ううん」と言うだけですが、にこやかにしている彼女を見ているとこちらも安心できます。ひと通り洗い終わった私が「交代〜」と湯船に入ります。風呂の天井を見つめて、先週まで彼女が、赤や黒のカビといっしょに風呂に入っていたことを考えるとそりゃあ気分も違うよなと。よくあの状態で暮らしていたなと逆に妙に感心してしまう私がいました。セルフネグレクトの域に達していなかったことが救いではありました。まぁセルフネグレクトであれば、恋愛なんてことも考えることもないのかも知れないし、そういう意味では、まだまだ彼女は救う余地はあるかもと希望を抱いていました。
彼女が洗い終わる前に、私は先に出て、テーブルの準備をします。「バスタオル入れたら、洗剤入れて洗濯機回してくれる〜?」と彼女に声をかけて、私はキッチンへ。カレー鍋をもう一度火を入れて、ちょうどご飯が炊けたいい香りがしてきています。リビングのソファにテーブルをセットして、冷茶を持っていき、彼女が上がってきたらカレーをセッティングすれば完成です。

洗濯物を回した彼女がお風呂から出て「はぁ」と一息ついています。「もう食べれそ?」というと「うん、いい匂い。おなか空いてきた」とのこと。ちょうどいいサイズのシチュー皿と思われる食器にご飯を盛り、カレーを流します。カレーって作る量からして、一回分が意外と減らない印象です。2人分セットしても、鍋の量が減ったのかは疑問なくらいです。
彼女のいるテーブルにカレーを運び、「味は保証せぇへんけどなぁ」と言いつつ2人で「いただきまーす」と一口。「うん、市販の味やな(笑)」という私に、「普通にいけるよ」と気を利かした彼女の返事。では次回は一からやってみますかね。「アルコールが欲しい」と彼女は赤ワインを取り出して飲み始めます。あー、また変な絡み方をされる(笑)…と覚悟しながら、お昼を抜いたせいか2人ともきれいに完食しました。私は口直しに「お茶漬け海苔」でお茶碗一杯サラサラ。テーブルの食事のあとを片付け、彼女のワイン晩酌に、スーパーで買ったオツマミと高級チョコを持っていき、私は洗いものを片付けます。キッチンとリビングを仕切るドアを開けて彼女がやってきて、洗いものをする私の背中にひっついています。「なら、洗ったやつ、拭きあげて棚に直して」と2人で並んで後片付けです。
2人分くらいあっという間に片付くので、私も洗濯が終わるまでリビングで彼女と寛ぎます。そう「プリズンブレイク」タイムです。こういう長いシリーズものは、いつもどこで区切るかが難しいですね。まだ季節は冬ですが、ワインで体が火照った彼女が隣にいるので、暖房なしでも寒くない感じです。ただ彼女のワインの飲み方はまるで水のようで、急にスイッチが入ったように絡み出すのです。普段は「恥ずかしい」と甘えはするもののそんなにはベタベタしてくるわけではないのですが、アルコールが入ると制御が効かなくなるようです。せっかくの「プリズンブレイク」タイムをめちゃくちゃ邪魔してきます。
そんな彼女との戦を終えて(笑)、彼女もいい具合にアルコールが回ったのでしょう。また眠りに落ちてしまったようです。テーブルまわりを片付けて、溜まったゴミ出しに行き、洗濯機から洗濯物を取り出して、ベランダへ。温かい部屋からベランダへ出る時のこの締まる感じの寒さがまた心地いい。土曜日は彼女が平日溜めがちな洗濯物をいっしょに回すので量が増えますが、今日は一日分なので余裕で干せます。
明日は初めてここから出勤です。カバンも小さく、服装もいつもの平日よりはカジュアルですが、まぁ打ち合わせの予定もないのでなんとかなるでしょう。あぁ、普段から私は服装はスーツなどではなくカジュアルな服装で問題ない職業なのですが、たまに打合せに出向いたりするのであまり軽い感じのものは着ていないということです。邪魔されて途中で落とした「プリズンブレイク」の話を最後まで見て、歯を磨き、スースーと寝息をたてる彼女の着る布団を半分借りて「あ〜、掛布団ももう一枚買わないとな〜」と思いながら部屋の電気を落とします。
【第百八十話】に続きます・・・。
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